現代英語の真の理解に!→最所フミ『日英語表現辞典』【おススメ度:★★★★★】
今から40年前、1980年に刊行された本。
「辞典」と銘打っているものの、網羅性は重視していない。
よく使われる割にノンネイティブにはぴんとこなかったり、辞書そのままの意味だと正しく使えなかったり、一見簡単だが実際は複雑なニュアンスをもった言葉を集めた表現集となっている。
40年前と違って、今はインターネットで簡単に表面的な言葉の意味や用法は調べられるけど、こういった確りとした本を読んで深い意味を学ぶのは、今でも英語学習者にとって有意義なのではなかろうか、と思ってキンドルでポチってみました。
ちなみに、著者の最所フミは、1908年生まれながら、津田塾を出てからミシガン大学、同大学院で学び、NHKで英語ニュースの仕事をしていたという超才女な方。
本書は72歳の時に出していることに…すごすぎる!
本書は、「英和の部」と「和英の部」に分かれており、前者のAで取り上げられている表現で気になったものをピックアップしてみました。
- add up:make senseの意味。It doesn't add upで、「(話の辻褄が合わないので)信用が置けない」というニュアンス。
- admit:単に「認める」という意味ではなく、やむをえず認める、というニュアンスがある。「admitしない」ということは、「負け惜しみ」という意味合いをもつ。したがって、例えば、「植民地をもっている国は、植民地の独立を認めない」というときに、「Colonialists never admit the independence of their colonies」と書いてしまうと、independenceはすでに出来上がった事実で、それをなんとかごまかして(負け惜しみで)認めようとしない、という意味になってしまう。ここでは、「give」や「allow」を使うのが正解。筆者は、このような誤用に対して、「言葉は単に意味でもなく、音でもなく、また単にimageでもない。それらの全部を含む一つの生きものであるから、生きた感覚を知らないと、使うことができない」と指摘してます。たしかになぁ。ただ、そういった生きた感覚を得るには、多少間違ってもいいから、たくさん使ってみるしかないかなと思います。
- affinity:魅力を感じて対象に惹かれる場合に使われる。attractionは、逆に、魅力をもって他人を惹きつける場合に使われる。
- angst:ドイツ語から来た言葉で、a feeling of anxietyの意味。
- anywhere:「That is fast action anywhere」というと、「そうした機敏な措置はどこでも取られている」という意味ではなく、「どんな水準からみても、機敏な措置である」という意味となる。つまり、強調の目的で使われる。
- apple pie / applesauce:本書では、「お世辞」の意味として紹介されているが、Oxford Advanced Learner's Dictionaries(OALD)で見る限り、そういった意味の紹介は無かった。40年であまり使われなくなったのかな。他方で、OALDでは、「as American as apple pie」(アップルパイのようにアメリカ的な)というイディオムが紹介されてました。
- asked for it:He asked for itで、「彼はそれを欲しがった」という意味ではなく、「自業自得」(He deserved what he got.)の意味。文脈にもよるとは思うけれど。
- at it:I'm at it from 6pmで、「私は午後6時からそこにいる」という意味ではなく、「私は午後6時からそれに取り組んでいる」という意味。
- au fait:昨日の語彙力UPクイズでも取り上げましたが、フランス語からきた言葉。文字通りには「to the fact」だが、well informed、well acquainted with the factsの意味。
Aのところを読んでみただけでも、「なるほどな」となる表現が取り上げられていて、勉強になる感じがしませんでしょうか。
少々古い本ではあるので、up to dateな意味が載っている英英辞典等も組み合わせて、読み込んでいきたいと思います。
【おススメ度:★★★★★】(英語学習への個人的おススメ度です!)
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