洋書多読:Sophie's World(ソフィーの世界)/第2章 Top Hat
[記事編集履歴:2021年2月17日最終更新|
一昔前、たぶん20年以上前に流行った哲学を題材とした小説、「Sophie's World(ソフィーの世界)」を読み始めています。
洋書多読:Sophie's World(ソフィーの世界)/第1章 The Garden of Eden - 英語で世界を広げたい!~英語学習&見聞録~
第1章は、ノルウェイの片田舎に住む14歳の少女ソフィーのもとに、謎の封筒が届くところから始まりました。
第1章でソフィーに降りかかった謎は3つ。
- 1つ目は、誰が白い封筒を郵便受けに入れたのか。
- 2つ目は、白い封筒に書いてあった難しい問い(Who are you? Where does the world come from?)。
- 3つ目は、Hilde Moller Knagとは誰で、なぜソフィーのところにHilde宛のバースデーカードが送られてきたのか。
・ ・ ・
第2章では、また謎の手紙がソフィーに届きます。
The only thing we require to be good philosopher is the faculty of wonder.
良い哲学者であるために唯一必要なことは、「不思議がる能力」である。
手紙の書き主(誰が書いているかは謎)は、以下のように語ります。
- 人間は赤ちゃんの時には、誰でもこのfaculty of wonderをもっていたが、大人になるにつれて、どんどん世界に慣れていってしまう。
- この世界の中で、地球は宇宙というマジシャンの帽子からトリックで出された白いウサギのようなもので、人間はそのウサギの毛についている小さな生き物。
- 人間は最初は毛の先で生まれ、トリックの不思議さに驚く。でも大抵の人間は、成長するにつれ毛の中奥深くの快適なところに潜ってしまい、そこから出なくなってしまう。
- 哲学者は、世界に慣れるということをしない。哲学者だけが、毛の先に登って、「この白いウサギは宙に浮いている!」と叫ぶが、他の人は耳を傾けようともしない。
- ソフィーは選ばなければならない。ソフィーはまだ世界に退屈していない子供か、あるいは世界に決して退屈しないと誓った哲学者か?
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世界に慣れてしまった大人としては、なかなか耳に痛い問いかけ。
ただ、ちょっと哲学者の選民意識的(または、上から目線?)な側面も感じるような。
実際この手紙に感銘を受けたソフィーも、仕事から帰ってきた母親に、「生きていることって驚くべきことだと思わない?」「世界が存在していることが驚きだと思わない?」と畳みかけるように問いかけて、ポテトを食べてテレビを見ようとしている母親が何を言っているのかわからないという反応をするのに対して、「あなたは宇宙に浮かぶ白いウサギの毛の奥でぬくぬくとしているだけよ!」と責めるシーンが出てきます。一生懸命仕事してるのに、ちょっと母親かわいそう・・・。
本書ではストーリー上やむなしとは思いますが、哲学者が、生きていくための普通の生活を見下すようだと、断絶は避けられないだろうなと思いました。
古代ギリシャで哲学が発展したのも、生活をささえる奴隷あっての話ですが、奴隷からしたら、白いウサギなんかしったこっちゃないよという感じだろうな。
ソフィーは母親にドラッグでも使っているのではないかと心配されますが、鼻で笑い飛ばします。まあ思春期の子どもが急にこんなこと言い出したら親としては心配もするよな…。ドラッグが出てくるのは海外らしいけど。
そんな感想ですが、でもやはり先が気になる展開です。
謎の封筒に誘われるソフィーの哲学の旅は、どうなっていくのか。
<語彙力UPクイズ>
【脚注に答えがあります】
- engross*1
- fling*2
- shroud*3
- incredulity*4
- sleight of hand*5
- twig *6
- enthrall*7
- nonchalantly*8
- snuggle*9
- apathetic*10
- eminently*11
- perilous*12
- lull*13
- humdrum*14
Sophie's World: A Novel About the History of Philosophy (FSG Classics)
- 作者:Gaarder, Jostein
- 発売日: 2007/03/20
- メディア: ペーパーバック